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*特許権紛争:裁判所処理に一本化
▷特許を巡る紛争の処理迅速化に向け、政府は法改正の検討に入った。特許権の有効性に関し、裁判所と特許権の判断が対立しかねない現行制度を改め、無駄な紛争の回避につなげたい考えだ。知的財産戦略本部が策定する2009年度から5年間の「第三期知的財産戦略の基本方針」で二重構造の問題点を明記。特許庁の無効審判制度の制限と裁判所の判断への一本化を11年度に予定する特許法抜本改正に盛り込む方針だ。
▷現行制度では、企業や個人が裁判所に特許権侵害を提訴しても、訴えられた側は特許庁に「特許権は無効」とする審判を請求できる。無効審判は、理由が異なる限り、同一特許について何度でも請求できる。裁判所での訴訟と無効審判の両方で特許の有効性が争われ、判決と審判の判断が対立するケースも出てくる。
▷法改正では裁判所の判断に一本化する規定を設けるか、無効審判の請求を制限する案などを検討。無効になる特許を減らすため、特許成立前に第三者が異議を申し立てる制度の導入も模索している。
特許だより
2009.05.10
▷裁判所と特許庁の両方で争いが起こる「ダブルトラック」の現行制度は、特許権者に不利との指摘がある。裁判で権利者が敗訴する割合は7割程度。個人や中小企業にとって紛争処理のコストは重荷になる。特許権を侵害されても、その後の無効審判を恐れ、提訴に尻込みしがちだ。
▷過去の例でみると、生のりの異物分離除去装置の特許を侵害されたとして製造差し止めを求めた裁判では、2000年に東京高裁で原告が勝訴したが、被告は先行事例を挙げて、そもそも特許が無効と主張して特許庁への無効審判請求を繰り返し、2007年には無効審決が確定。被告は裁判所に再審請求し、判決が覆っている。